シンポジウム

Connected Learning in Focus

ニューロダイバーシティを讃えよう


Connected Learning in Focus: ニューロダイバーシティを讃えよう

概要

千葉工業大学コネクテッド・ラーニング連盟は9月21日、ニューロダイバーシティを讃えテクノロジーに関する共同研究を促進するための特別シンポジウムを開催いたします。

本シンポジウムは、AIをはじめとする最新技術を活用し、それぞれが繋がることでニューロダイバーシティを実現しようとする最先端の研究を共有することを目的としています。

ニューロダイバーシティを認め合うだけでなく、「称賛していく」ことに主眼を置いた世界各地のさまざまな研究を取り上げ、テクノロジー開発者がニューロダイバーシティの当事者やコミュニティから学ぶことで、未来を切り開く手がかりを探ります。

ニューロダイバーシティ当事者団体や、学術研究者、開発者、技術者などによって組織されるこのイベントは、シンポジウムシリーズ「Connected Learning in Focus」の一環で開催されるものであり、今回日本国内では初めて開催されるイベントとなります。本イベントでは日本語/英語の同時通訳が行われます。

ニューロダイバーシティに関するムーブメントが世界各地で拡大する中、発達障害を持つ人々やコミュニティのユニークな長所やニーズを活かしつつ、新たなテクノロジーをデザインし、展開していこうという動きも活発になってきています。最終的には本シンポジウムからニューロダイバーシティ・テクノロジー・ムーブメントに火をつける国際的な連合を発足したい考えです。

どなたでもご参加いただけます。どうぞお気軽にお申し込み下さい。

【開催概要】

日時:2023年9月21日(木) 15:00 - 17:30
主催:千葉工業大学、 コネクテッド・ラーニング連盟
会場協賛:株式会社デジタルガレージ
会場:渋谷PARCO DGビル18階カンファレンスホール「ドラゴン・ゲート」
申込:事前登録制
言語:日本語、英語(日英同時通訳付き)

登壇者

  • Annuska Zolyomi (IDEA Lab, ワシントンボセル大学)
  • LouAnne Boyd (Learn|Adapt|Build, チャップマン大学)
  • 伊藤穰一 (千葉工業大学 学長)
  • 伊藤瑞子 (Connected Learning Lab, カリフォルニア大学アーバイン校)

プログラム

  • 15:00 — 開会のご挨拶:伊藤穰一、伊藤瑞子
  • 15:15 — テンプル・グランディン博士による基調講演(ビデオ)
  • 15:30 — 総会:日本におけるニューロダイバーシティ・テクノロジー運動の発展(伊藤穰一、Annuska Zolyomi、LouAnne Boyd、伊藤瑞子)
  • 16:00 — パネルディスカッション:ニューロダイバーシティ当事者による活動 — 戦略とネクストステップについて
  • 16:20 — パネルディスカッション:ニューロダイバーシティに関するテクノロジーのイノベーション
  • 17:00 — 閉会の挨拶

ニューロダイバーシティとは、人間の認知における自然な多様性を認め合うだけでなく、「讃えあう」ことを前提としたパラダイムです。また、テクノロジーはステレオタイプや偏見を打破する社会的、学習的、雇用の空間を作成するためのアプローチを構築する上で重要な役割を果たしています。

本シンポジウムでは人間とコンピュータの相互作用、包括的デザイン、人工知能の分野でリーディングを務める国際的な研究者たちから、ニューロダイバーシティに関連する技術と社会的包括のビジョンを提唱していきます。シンポジウムでは、日本および世界中の自閉症当事者や、自閉症提唱の先駆者であるテンプル・グランディン博士からのビデオメッセージも公開となります。

私たちがニューロダイバーシティとテクノロジーに関するシンポジウムを開催する理由

テクノロジー分野における技術革新はこれまで、偏見を助長し「普通でない人々」を排除する傾向にありました。我々はここで一旦立ち止まり、技術革新を明るい未来のために活用するための方向転換ができないかと考えるようになりました。

ChatGPTのようなAI主導のテクノロジーは、テクノロジーの専門家がインターネットのような驚異的な段階的成長に匹敵するペースで普及していますが、これは早急に意識的に取り組まなければ、テクノロジーはAIバイアスやアルゴリズムによるエラーとして、能力主義的な固定観念を伝播し続けるだろうとも言われています。

多くの企業はAI採用ツールを使用していますが、これらのツールの中には視線を注意力や社会的動機と誤って相関させているものも存在しています。これらは非定型発達の求職者を除外する動きにも繋がっています。

学校などで授業中に使われているAIツールは、受講している生徒や学生の非定型的な体の動きや脳波のパターンがないかを監視しています。監視すること自体が障害者やニューロダイバーシティな人々に悪影響を及ぼすという事実にもかかわらず、一部の研究者や技術者は、こうした能力主義的な手段を倫理的な問題として提議せず、表情や体の動きの監視をAIのポジティブな応用として捉えてさえいます。

ニューロダイバーシティ運動は、オルタナティブな未来を提供すべく、今始めなければならない段階にきています。脳や神経の多様性を受け入れること自体が求められているだけではありません。AI駆動型テクノロジーの急速な進化が同時進行している現在、私たちは、多様性を一から包摂する新たなテクノロジーのデザインが求められているのです。

受容、支援へのアクセス、インクルーシブ教育、そして最終的にはニューロダイバーシティを祝福するテクノロジーをデザインすることの意味について深く考察することは、今や国際的な急務となっています。

私たちの使命は、繋がりの学習=コネクテッドラーニングを戦略的な枠組みとして使用しつつ、ニューロダイバーシティに関連する技術を活用することで文化的変革を推進することにあります。共有される価値観を基盤に、研究と実践を統合し、技術のコミュニティベースでの包摂的な設計および持続可能なプログラムに焦点を当て、各分野のリーダー達とのコミュニケーションと協力を促進していきます。この取り組みは、ニューロダイバーシティのエコシステムに関連する先進的な研究を行い、共有する包括的なシステムを構築することにあります。最終的にニューロダイバーシティを実現しインクルーシブな社会をつくるために。

詳細

2023年9月21日(木) , 15:00−17:30 JST
開催場所: 渋谷PARCO DGビル18階カンファレンスホール「ドラゴン・ゲート」